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盛経塾、4月例会・今月の例会の講師は、京セラ株式会社の元代表取締役社長・元会長である伊藤謙介氏

今月の例会の講師は、京セラ株式会社の元代表取締役社長・元会長である伊藤謙介氏でした。

伊藤氏は、1937年に岡山県で生まれ、高校卒業後に松風工業へ入社。働きながら大学で学ばれましたが、途中で中退され、その後、1959年に稲盛和夫氏らとともに京都セラミック株式会社、現在の京セラ株式会社の創業に参画されました。

京セラでは、主に開発・製造の現場を歩まれ、ものづくりの最前線で経験を重ねながら、会社の成長を支えてこられました。1975年に取締役に就任し、その後、常務、専務、副社長を経て、1989年に代表取締役社長に就任。1999年には会長、2005年には相談役を務められました。

伊藤氏は、京セラ創業期から稲盛和夫氏と長く歩みを共にされ、京セラの発展を支えた中心人物の一人です。特に、稲盛氏の経営哲学や京セラフィロソフィを深く理解し、それを次の世代へ伝えてこられた方として知られています。

経営を単なる数字や手法として捉えるのではなく、人間としてどう生きるか、どのような心で仕事に向き合うかを大切にされてきた伊藤氏の歩みは、まさに「魂の転移・理念の継承」を語るにふさわしいものでした。

鹿児島盛経塾の例会では、講演に入る前に、必ず「経営の十二ヶ条」の唱和から始まります。

参加者全員が姿勢を正し、声を合わせて十二ヶ条を唱和する時間は、単なる形式ではありません。経営者として何を大切にし、どのような心で仕事に向き合うのかを、あらためて自分自身に問い直す大切な時間です。

日々の経営の中では、目の前の課題や数字に追われ、つい本来の目的や心のあり方を見失いそうになることがあります。しかし、この唱和を通して、経営の原点に立ち返り、学ぶ姿勢を整えてから講話を拝聴します。

伊藤氏の講演の中で、私が最も心に残ったのは、稲盛塾長が人に大切なことを伝える時の姿勢についてのお話でした。

稲盛塾長は、本当に伝えなければならないことがある時、相手の顔が紅潮するほど、真正面から、熱を込めて語りかけていたそうです。

それは特別な場面だけではなく、社員に対しても同じでした。会社の理念や仕事に向き合う姿勢、人としてどう生きるべきかという大切なことを、稲盛塾長は決して軽く伝えることはなかったのだと思います。

相手に嫌われることを恐れず、きれいな言葉だけで済ませるのでもなく、その人の心に本当に届くまで、本気で語りかける。その真剣さこそが、社員一人ひとりの心を動かし、京セラという会社の理念を形づくっていったのだと感じました。

伊藤氏は、そのようにして人から人へ、心から心へと受け継がれていくものこそが「魂の転移」であり、理念の継承なのだと語られました。

講演後には、稲盛塾長が大切にされていた「車座コンパ」が行われました。

肩書きや立場を越えて、参加者が車座になり、同じ目線で語り合う時間です。そこでは、経営者一人ひとりが抱える悩みや課題、経営に対する問いが、本気の言葉として交わされました。

数字のこと、社員との向き合い方、会社の未来、自分自身の心のあり方。

どの質問にも、その人の経営に対する真剣さがにじんでおり、単なる懇親の場ではなく、互いの魂を磨き合うような学びの時間でした。

稲盛塾長がこの車座の場を愛された理由は、そこに本音があり、実践があり、そして人として成長しようとする経営者の姿があったからなのだと感じました。

そして、今回の車座コンパでは、伊藤謙介氏を囲み、濵田酒造の濵田雄一郎顧問、島津公保顧問という鹿児島盛経塾を長年支えてこられた重鎮のお二人も並ばれ、なんとも貴重な時間となりました。

濵田雄一郎氏は、鹿児島を代表する焼酎蔵である濵田酒造株式会社の代表取締役社長を務められ、現在は代表取締役会長として同社を支えておられます。創業150年を超える老舗企業の経営を担い、鹿児島の焼酎文化と地域経済の発展に尽力されてきた方です。

島津公保氏は、旧島津家の歴史と文化を受け継ぐ株式会社島津興業の代表取締役社長などを歴任され、仙巌園をはじめとする鹿児島の歴史資産を守り、活かす観光事業に長年取り組んでこられた方です。また、盛和塾鹿児島の創設期から運営に携わり、長年にわたり若手経営者の育成にも尽力されてきました。

伊藤氏、濵田顧問、島津顧問が同じ車座に並ばれ、それぞれの経験と言葉を通して語り合われる姿は、まさに鹿児島盛経塾ならではの貴重な光景でした。

最後は、講演会と車座コンパに参加された皆様で集合写真を撮影。

世界情勢の変化、不況、経営を取り巻くさまざまな困難。鹿児島の経営者である私たちも、それぞれの現場で日々多くの課題と向き合っています。

しかし今回の例会を通して、どのような時代であっても、正しい考え方を持ち、心を高め、経営に真正面から向き合うことで、必ず道は開けるのだと強く感じます。

伊藤謙介氏の言葉には、稲盛塾長から受け継がれた理念と覚悟が込められており、その熱は参加者一人ひとりの心に深く刻まれていきました。

単なる知識や経営手法を学ぶ場ではなく、人として、経営者として、どう生きるべきかを問い直す時間。

まさに、伊藤謙介氏からの「魂の転移」を感じる、鹿児島盛経塾にとって大変貴重な例会となりました。